今回は弊社で取り扱っている土木・建築工事用の資材(鋼矢板、支保工)について、ご紹介致します。

一般の方には馴染みがないニッチな業界の資材のため、分かりにくいかもしれませんが、ご容赦下さい。

⚫︎支保工の役割⚫︎

支保工とは、対象物(土やコンクリート)が、施工中に崩れてこないように、地盤を「支」えて、地盤を「保」持し、建設現場の安全を確保するための「工」事です。支保工には大きく分けて以下の二種類があります。

  • 山留め支保工: 掘削作業時の周辺地盤の崩壊を防止し、現場の安定を図る為に設ける仮設工事(構造物)
  • 型枠支保工: トンネルや橋梁、ビルなど、コンクリート構造物の建設時に、コンクリートの打設時に現場の安定を図る為に設ける仮設工事(構造物)

どちらの支保工においても、上や側面からの荷重を支え、建設現場の安全を確保する役割を果たします。支保工は、工事中に構造物が崩れないための安全性を確保すると同時に、経済性・施工性も要求されます。

⚫︎支保工の種類⚫︎

山留め支保工

掘削作業を行う際に、掘削した断面が剥がれ落ちて、地盤崩れが発生するのを防ぐため、山留め支保工が利用され、以下のような種類があります。山留めを土留めと表現する場合がありますが、同じ意味として使われているようです。山留め支保工の資材は、主に重仮設リース会社が保有し、工事毎にレンタルすることになります。

1.鋼製切梁(きりばり)式 (写真:山留め支保工(切梁式)、山留め壁)

  切りばりや腹起こしなどの支保工と、掘削される側の地盤抵抗により、山留め壁を支持する工法。

2.地盤アンカー式

  掘削周辺の地盤中に定着させた山留めアンカーと、掘削される側の地盤抵抗により山留め壁を支持する工法。

3.タイロッドアンカー式

  山留め壁の背面地盤中に控え杭を設置し、タイロッドでつなげて支持する工法

4.自立式(支保工なし)

  切りばりや腹起こしなどの支保工を使わずに、地盤の抵抗力で山留め壁を自立させる工法

図1 山留め支保工の種類

山留壁の種類

山留め支保工で地盤が崩れないように堰き止める際に、以下の様に、板材(横矢板)、鋼材(鋼矢板、鋼管矢板)、ソイルセメント(土とセメントを混ぜたもの) が使われます。

図2 山留め壁

写真 山留め支保工(切梁式)、山留め壁

型枠支保工

型枠支保工は、生コンクリートの型崩れを防止し、型枠を保持するための工事です。生コンクリートを型枠内に流し込むと、型枠内部に内圧がかかり、型枠が壊れ、コンクリートが流れ出してしまうリスクがあるため、型枠支保工で型枠を支え、コンクリートが硬化するまで形状を保つために必要な資材となります。型枠支保工の資材は、主に軽仮設リース会社が保有し、工事毎にレンタルすることになります。

1.鋼管支柱(パイプサポート式) (図3)

せき板、根太、大引き、パイプサポートを用いる一般的な方法です。パイプサポートの長さは、300mmから3950mmまであり、現場の高さに応じて選択します。

2.鋼管支柱(くさび結合式:TSサポート) (写真1・2)

システム支保工を使用する方法です。支柱の先端にほぞがあり、簡単に差し込み増設でき、足場と支保工の2つの機能を有した資材です。

3.鋼管枠(枠組式) 

足場に使用する建枠と付属部材を用いて支保工をつくる方法です。

4.梁式(支保梁式:ビーム式) 

コンクリート荷重等を形鋼または組立梁を用いて支持する支保工形式です。

図3 パイプサポート式 型枠支保工

<TSサポートを型枠支保工として用いた工事>

TSサポートは、足場兼用支保工として広く使われている資材です。以下の3つの頭文字のSから、

Three S(Safety, Simple, Strong stage) = TS サポート と呼ばれています。 (図4)

超厚スラブ構築物工事の省力化にTSサポート(仮設工業会認定品 承認 第3号(φ60.5) / 第14号(φ48.6))

  1. Safety:    作業が安全
  2. Simple:    工程の簡略化
  3. Strong stage: 耐重型足場

<TSサポートの特徴>

・足場と支保工が兼用できるため、型枠支保工として利用しながら、足場としても利用できる。

  (本足場:壁周りの作業 / 棚足場:天井面の作業)

・枠組足場、次世代足場(弊社の場合、アルバトロス)に比べ、許容荷重が大きいため、建地数が少なくでき、組み立て後の作業空間が広く取れる。

図4 TSサポート部材

弊社リース事業部では、TSサポートに加え、以下の専用部材も取り扱っております。

  • 専用斜材(クサビブレス)  → 仮設資材カタログ P.30-31

  • 異形クランプ(TS径φ60.5 × 単管径φ48.6、直交・自在両タイプ、大筋かい取り付け時)                   → 仮設資材カタログP.32

  • 壁あて用伸縮材(スライド式腕材、 調節範囲:360mm~630mm)                              → 仮設資材カタログP.28

  • 自在大引受ジャッキ(斜スラブにも対応可能)                             → 仮設資材カタログP.29

弊社リース事業部が担当した工事で、山留め支保工(山留め壁)、TSサポートを用いた型枠支保工のご紹介をします。

写真1 型枠支保工(TSサポート) / 山留め壁

写真2 型枠支保工(TSサポート)

今回は、簡単な説明ではありますが、支保工に関する商品についてご紹介しました。

弊社では、土木・建築工事用の支保工資材について、以下の商品を取り扱っております。

ご用命の際は、各事業部までお問い合わせください。

・山留め壁 (鋼矢板、型鋼、角鋼管、パイプ類、敷鉄板) 👉  鋼材事業部

・型枠支保工(TSサポート、枠組足場、くさび結合式足場:アルバトロス、角鋼管) 👉 リース事業部

  ※仮設資材カタログ 👉 クリック

参考文献》

・建築仮設の構造計算 第2版 (建築仮設構造研究会, 2021/12)

・建築施工 (理工図書, 2018/5)

鋼材事業部 / リース事業部